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ぼくは。



暗闇の中にいます。

きみの良く知っている所。
泳ぎの得意なきみが、重い足をばたばたと無様に動かしながら、首元の鰓を押さえた刹那。
きみが、苦しいと叫んだ所。
きみが、首もとを掻きむしって、きみが、いつの間にか疲れ果てて、きみが、溺れた所。

きみが、汚らしいほどの生への執着を見せた特別な所。
ぼくは、そこにいます。


あの日銀河のほとりで、ぼくは笑って言いました。


いつでも待っている、と。


そんなぼくに、きみは。


蔑むような瞳が、ぼくの恍惚でした。
無言の責め苦が続くような、悦楽でした。


誰が。二度と。
きみの瞳はなんと強い光を放つ事でしょう。
きみは知らない、先ほどまで溺れていたその濡れた髪からしたたる雫が、ダイヤモンドより尊い事。
きみは気づいてさえも居ない、その首元に輝く鰓に。


鰓の付いたきみはぼくと共にあるべきだ。


ぼくとともに。


鰓の付いていない無能で哀しい生物など、この暗闇という場の優しさに気づかないまま死んでいくが良い。


きみは知っている筈だ、気づいている筈だ。
この底なし沼の、この深海の、蟻地獄のようなこの場所で。
ぼくと共存するための鰓を、きみが持っている事を。

一緒に潜るための、浮上を許さない、ぼくがきみの手足を引こう。
深く潜ろう。






いつでも待っているから。

by he_loves_me | 2012-01-20 02:08 | | Trackback 

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